1級小型船舶操縦士試験(試験総括:実技)

本日、1級小型船舶操縦士の国家試験を受験。

総括しておこうと思います。

【試験主催者都合による急遽の予定変更】

通常の国家試験では、午前中に学科試験、午後から随時実技試験を行い、解散という流れですが、時と場合によって、その順序が変更になることがあるそうです。

「あるそうです」も何も、私がその当事者になったので「ある」わけです。

学科試験会場と実技会場が最寄りだったり、同一マリーナだったりする場合は、受験者の心の準備はさておき、それほど問題にならないのですが、今日は、集合時間の45分前に学科の会場に入ったら、私の受験番号の席がない

私「あの、私の席がないんですが?」

係員1「あ、えと、お宅は、午前は実技に変更となっています。」

私「は?聞いてませんが?」

係員1「いや、昨日連絡しました。

私「いえ、連絡受けてませんが?

係員1「お通いの教習所に連絡済みですが?

私「お通いの教習所って私、実技のみ練習つけてもらっただけで、それ以外は自分でやったんですが?

係員1「え。。。」

私「え。。。じゃないですよ。」

第一、WEBなどにそういう情報が上がるわけでもなし、受験申請書に電話番号等記載するのに、それは何のために・・・。

・・・・やはり、教習所通すのがこの試験の筋なんですね。

 

係員1「ごめんなさい。連絡が漏れていたようです。急いで実技会場に向かって下さい。8時40分には集合となり、すぐに身体検査が始まりますので。」

この時点で、8時10分でした。

今回は、平塚市の会場だったのですが、学科会場と、実技会場は徒歩30分(約2キロ)離れています。バスがあるからそれに乗れ、というので、バス停にいったら、次のバスまであと20分。

これは走るしか。しかし、怒りますよね?!普通。だけどそんな余裕もない。

競馬ファンの皆様、おはようございます。よい天気に恵まれました。さて、平塚第1レース、距離は2000メートル・・・発送時刻は8時15分です。」

脳内ファンファーレによってゲートイン、スタートしました!

完全防寒(完全ワークマン)でリュックを抱えて、ダッシュダッシュ

大きな国道を横切るのに、横断歩道はないので歩道橋を走り、信号待ちや路地を通り抜けること、15分。到着(8時35分)。

「ぜぇぜぇ」と控え室に入ってみんなの注目浴びる。

係員2「あ、最後の1名がいらっしゃったので、では、説明を始めます。」

その後、息切れ、この寒い中汗だくで、身体検査を流れ作業で。

【身体検査】

・視力検査

・色覚検査

は、健康診断よりも簡易的ではありますが、一応機械で行われます。

・身体運動検査

・聴力検査

この2検査は、受験番号の呼び出しに応えられるか、席を立ったり座ったりの様子を観察して検査に換える、という検査

車の免許よりはずっとずっと楽です。1分で終わります。

 

【実技開始まで】

実技は9時10分から。それまでトイレ休憩。息切れも落ち着いてきて、ちょっと係員にことの顛末を聞くことにしました。

私「あの、実技先だなんて聞いてないのですが?

係員2「いや、そういうこともあるんです。」

私「いや、連絡無かったですってことですよ。これだけ会場が離れているのに、連絡なしでいきなり実技行けっていわれると困ります・・・。はやめに学科会場行ったからよかったものの・・・」

係員2「え。。。

私「さっき、学科会場でも、係員の人に言ったのですが、なんでも、教習所とおして連絡をしたとかおっしゃってましたが、私そういうのしてないんで。」

係員2「あ。。。申し訳ございません。こちらのミスですかね。うーん。」

私「まあ、間に合ったんでいいですけど、早々に疲れました(笑)実技怖いです(笑)」

係員2「(やべぇって顔で)・・・すみません、リラックスしてお待ち下さい。」

まあ、一応、国家試験(受験料3万円)ですからね、ちょっとさすがにどうかとは思いますが、昼休み飯でも食いながら実技のイメトレしようと思っていたところ、その計画も全部吹っ飛びまして、しかもあと5分で試験という状況では余裕ゼロ。

そのまま桟橋に向かいます。

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相模川河口試験場

おいおい、いつもの釣り場じゃん。こんなところに試験場があったのか。

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今年の初釣りはここでした

やっとあがった息が元にもどりました。

【実技試験開始】

実技試験開始です。3名1組で1つの試験艇

試験官「では、試験を開始します」

げ、さっき文句を言った「係員2」だ(笑)車の免許と同じように、試験官に悪印象を与えないように、ってちまたで言われているのに。

トラブルは連鎖して続くものです(笑)

俺は悪くない、と言い聞かせて、試験が始まりました。

1.出航前点検、トラブルシューティング、機関の運転、ロープワーク

 実技の練習をつけてもらっていたときは、順々にひとつずつ交代しながらやります、って聞いてましたが、そうではなく、指名を受けた1名が、一気に、この4科目を通しで行います。すごいスピードで。(交代でやるところもあるのかもしれません。)

①出航前点検(外側点検、法定備品、エンジン周りの3点について)

まず、外側の点検。船体外板、安定状態、浸水点検、係留ロープ点検、プロペラ点検、船灯点検、ワイパー点検、汽笛点検、の8項目からランダムに2項目、指示に従って点検をします。

私は、「安定状態点検」(船を揺さぶって点検)と「浸水点検」(エンジンルームの浸水チェック)でした。1分くらいで2つ流れ作業のように終わりました。

つぎに、法定備品の点検。こちらは、必ず船舶に積んでおかなければならない8つの備品チェック(ライフジャケットやアンカー等)。

私は、「消化器」と「あかくみ」を指さして終了。10秒くらいですかね。

次に、エンジンまわりの点検。11項目(オイル、燃料系統、その他)についてランダム2項目、こちらも指示に従って点検。

私は、「Vベルト点検」と「電源系統」でした。これも30秒くらいで終了。

 

トラブルシューティング

次に、トラブルが生じた場合にどのような処理をするか、という点について、質疑応答が行われます。

私は、「エンジンがオーバーヒートしたことを確かめる計器はどれですか?」ということで、「冷却水温度計」を指さすものでした。これも10秒くらいで終了。

 

③機関運転

エンジンONと暖機運転です。

機関室にガソリンが揮発した気体が籠もっていると、爆発するおそれがあるので、必ずエンジンONの前に換気を行います。また、オートマ車と同じく、シフトレバーが定位置にいないとエンジンがかからないので、そのチェックを指さし呼称しつつ行います。

終わったら、エンジンをONにし、指示されたエンジン回転数までギアを抜いた状態で暖機運転を行います(今回は、1500回転)。

これも、1分~2分くらい。

 

④ロープワーク

もやい結び、本結び・・・7種類のロープの結び方があるのですが、そのうちひとつを実演するように指示が出ます。

私はもやい結び。ほどけない輪っかを作るのに非常に便利で、救急の現場でも使われているらしく、Youtubeで結び方を学んでいました。いい時代だ。

ロープワーク出来ないのは致命的です。受験生としても、しっかりと練習しておくべきだし、船の係留やアンカーなどでも必須の結びになるので、船を操るなら必須でそれが出来なければ海難にも繋がる。出来ないとは言わせないレベルになっておくべきでしょう。

そんなところで、第1段階が終了。5分かからなかった。

 

ここまでは、イメトレで完璧に出来ますロープも練習さえ積んでおけば。絶対に点を取るべきところ。ここで取れないのは、努力不足。試験を舐めている(お前がいうな)。

 

2.操縦試験(基本)+安全確認

 続いて、前進、後進、変針(曲がること)、転進(Uターン)、蛇行の試験です。こちらも、交代しながらかと思ったら、1名に対し、一気に行われました。

 ランダムに指名がかかるので、最初の人は緊張します。そうではない人は、後ろに座って眺めながら自分のイメトレが可能です。私は2番目。

 1番目の方が、非常に念入りに安全確認を行う方でしたので、私としても大変参考になりました多少運転が下手でも、安全確認さえパーフェクトならば、悪い点数はつけない、というのが通説ですので、朝の有象無象でイメトレが出来なかった私には良かったです(笑)。

 また、申し訳ないけど、1番目の方が蛇行で失敗をされていました(それだけでは絶対に落ちない)ので、悪い見本が先に見れたというのもあり、実際に自分の番になっても、さっくりと10分かからずに終わりました。多分、実技練習の時よりも、蛇行は上手にできました。

 なお、蛇行を除けば、ここの科目で失敗する人もそういないと思います。他の方もすんなりサクッと終了(みんなスンナリ)。

 

3.応用操縦試験+安全確認

 最後に、人命救助、避航操船、着岸、離岸の4科目。安全確認は、こちらも常に。

①人命救助

 試験官が投げ入れたブイを、人間だと思って救出に向かうタスクです。ポイントは、

・ゆっくりとふらつかずに、最短距離でブイに向かう

・ブイの近くでは、船の行き足をなくす

・プロペラに人を巻き込まないために、ギアをニュートラルにする。

・船の後ろから救出するため、船にブイをぶつけないようにすれすれまで近づきつつ、ブイを救出する

ということになっており、おそらくこれが一番難しかろうと思います。船にはブレーキというものはありませんし、タイヤグリップのようなものももちろんないため、行き足なくすといっても、行き足なくして操縦がききません(舵がきかない)。

そこで、絶妙に近づいたときに、ギアを切って、行き足だけで近づき、行き足がなくなる前の数秒間で風の影響を読みながら、拾えるところで、かつ、ぶつけないところまで接近できるかがポイント。しかも、オタオタしてると、ブイが流されてしまい、拾えなくなったりします。

こちらも、1番目の人が苦労されている(ただし、一発OKの模様)のを後ろからずっと凝視できていたので、風の雰囲気や、こうしたほうがいいんだな、なんてじっくり眺めながらイメトレがはかどりました。人のを見て、イメトレも大事です。1番目の人は不幸というしかない。でも、一緒の方々もすんなり一発救助完了。

 

②避航操船

 これは、実際にはそうではないのですが、試験監督が、「仮に、~だとしたら、というイラスト」を提示してきます。例えば、船が正面から来る、とか、横から船が来る、のように。そうだと仮定して、それを避ける操船をします。

 これ、実質2パターンしかない。正面から来たら、右側通行なので、右に避ければいいし、そうではないときは、止まればよい。

 私は、横から船が来ました、だったので、止まりました。

 完全に停止していないのに、試験官が、はい、じゃあ次は~みたいなことを言い始めていたので、これはクリア確定。これで失敗している受験生は皆無かと思います。

③着岸+係留+離岸

 ワンセット。車なら、駐車→駐車作業(?)→出庫みたいな感じでしょうか。駐車が一番難しいですよね。同じくこちらも、人命救助と並ぶ難関と噂です。

 こちらは、突如南風が強くなりまして、ずいぶんと舵がきかなくなってきていまして、ちょっとだけ苦労しました。桟橋にぶつけると減点ですからね、はやめに船を桟橋と平行にして、寄せる技術が必要ですが、平行にした後が大変。これも、私は2番目に指名を受けたのですが、1番目の人が風でがんがん流され、イメトレしたんですが、こればっかりは操縦してみないことには感覚が分からない。

 で、実際に私の番になったのですが、なるほど確かにかなり辛い。ぶつけるかぶつけないかのスレスレでなんとか完了。冷や汗でした。でも、ぶつけてないから大丈夫なはず。

 その後の係留と離岸は、難なく終了。係留は、桟橋のクイの形状に合わせて適切なロープワークも必要になりますが、アウトドアで慣れ親しんでいる「巻き結び」は船舶でも必修事項となっておりまして、それが使えそうでしたので、巻き結びで速攻で係留(クリート結びでも可能な形状でしたが、他の受験者の方が苦労したり、失敗されていたのを見てたら、結び方が心配になってきたので。そもそもクリートなるものは、どのウチにもないから練習しづらい)。

 時間にして、1時間。一人当たり20分前後ですね。

 最後に、下船後、「じゃ、あとは学科で免許決まりますから」と言われましたので、おそらく合格推定。「このあたりは実はあまり水深深くない」「フカセ釣りの時は、ここのタナが~」みたいな雑談をする感じで終了でしたので、合格確定か。

 朝のわだかまりも取れ、すがすがしく、実技試験会場を後にしました。

【実技総括】

 事前に実技の練習はつけてもらった方がいいのは間違いないが、そうではなくてもなんとかなる気もするレベル。運転の下手さはあまり減点になっていないみたい(うまくいっていない受験者が運転してる横で、私は試験官のチェックの様子をじーっと見てましたが、減点チェックはあまりしてなかった。明らかな失敗の時だけ、チェック入れてましたね。)で、仮に、3つくらいミスがあっても、基準が車より甘い(車は7割で、がんがん減点されるのに対し、船も7割ですが、下手でも減点が少なく、ミスしても大失敗(救助失敗や、指示に従わないとか、着岸で船を大きくぶつける)でなければ減点幅は各科目で3割(これは実技の練習をつけてもらった人(試験官の経験有りと思われ)曰く)なので、多分余裕です)。安全確認しないと、その瞬間3割引く、っていってましたから、これはイメトレで絶対にカバーできる。「前後左右よし」「プロペラ周りよし」をこれでもかというくらい、ぶんぶんクビを回してやる。これは車と同じです。

 案ずるより、生むがはるかにやすし、というところ。車と違って、決まった道があるわけでもなく、操作はハンドルと、前進・ニュートラル・後進だけのシフトレバーのみですから。

 

 と、そういう感じで10時過ぎには解放され、昼過ぎの学科待ちです。

 

<<<後日談>>>全員合格だったようです。